カメラには露出(明るさ)をコントロールするために3つの数値を操作します。
オートで撮影していると気付きづらいのですが、この数字を自分で設定することで自分のイメージする写真を撮ることができます。
この記事では、写真のボケ量をコントロールするF値(絞り)について解説します。
■F値(絞り)ってどういう理屈なのか
■F1.2〜F16までのボケ量の違いを画像で確認できる
■撮影するシチュエーション毎の参考F値
■オートではなく「絞り優先モード」で写真を撮ろうという話
写真撮影に正解はありません。が、人の写真を見たり、人の設定を参考にすることは写真の引き出しを増やす意味でも上達の近道です。
ボケ量をコントロールする楽しさについて、何かを感じていただけますと幸いです。
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カメラのF値(絞り)とは
ボケ量をコントロールする数値
F値とは、写真のボケ量をコントロールする値だと覚えるといいでしょう。
細かくいうと光を取り込む量が変わる(F値が小さいほど光を取り込む)とかあるんですが、ボケで覚えるのが楽でいいです(笑)。
一般的にF値が小さいとボケて、F値が大きいと広い面にピントが合います。
被写体以外をぼかしたい場合は、F値を小さくします。F値をそのレンズの最小まで小さい値に設定することを「絞り開放」ということもあります。
風景やテーブルフォトなど、画角全体にピント合わせたいときはF値を大きくするのが一般的です。
絞る(数値を大きくする)と解像力が上がる
最近のレンズは絞り開放でも解像力が高いレンズが多いのですが(苦笑)。
一般的にはレンズは程よく絞ったほうが解像力が高くなると言われています。
ただ、逆に絞りすぎると「回析現象」という症状が発生し、逆に解像度が低くなるということもあります。
何事もほどほどに…。
一般的にはF値は絞ってもF16くらいまでを目安に使うといいでしょう。
単焦点レンズはF値が小さい物が多い
ズームができず、一定の焦点距離しか撮影できないレンズを「単焦点レンズ」といいます。
単焦点レンズはズーム撮影ができない欠点はありますが、以下のような特徴もあります。(高級レンズは例外もありますw)
- 軽い
- 安い
- 小さい
- F値が小さい
例えば、撒き餌レンズとして各社ラインナップされている「50mmF1.8」という単焦点レンズ。CanonのRFレンズの場合だと
- 軽い:約160g(キットレンズのRF24-105mm F4-7.1は約395g)
- 安い:約26,000円
- 小さい:約φ69.2mm×40.5mm(ピンとこないと思うのでレビュー記事をご覧ください)
- F値が小さい:F1.8
キットレンズは標準域のズームレンズになっているので幅広く撮影ができますが、一眼レフの楽しさの一つである「ボケ」を楽しみたいのであれば、まずは単焦点レンズを購入することをおすすめします。
ズームレンズはF値が大きい物が多い
先程、単焦点レンズはF値が小さいという話をしましたが、逆を言えばズームレンズはF値が大きいものが多いです。
大きいと言っても、プロが使用する大三元レンズはF値2.8のズームレンズになるため、十分にボケるレンズではあります。
撮影する被写体によってはボケはほどほどで、むしろズームできたほうが便利な現場も多いため、どっちが良いとか悪いという話ではありません。
撮るものが決まっている場合は単焦点レンズでも問題ありませんが、旅行で色んなものを撮りたい、初めての現場でどんな撮影になるかわからないといった場面ではズームレンズが便利です。
もちろん、旅行であっても単焦点レンズで切り取るというのも写真の楽しみ方です。
それぞれのレンズの特徴と撮影スタイル、現場に合わせてレンズを用意できるのが理想的ですね。
F値(絞り)とシャッタースピードの関係性
写真の明るさを決める際は「露出」をコントロールする必要があります。
露出をコントロールする設定は、主に3つです。
- F値(絞り)
- シャッタースピード(SS)
- ISO(いそ感度)
ここではISO感度は一旦おいておき、F値とシャッタースピードの関係を解説します。
F値を小さくするとシャッタースピードを早くできる
F値が小さくなれば小さくなるほど、写真は明るくなっていきます。
明るくなった写真を適正な露出に調整するためには、シャッタースピードを早い設定にすることで暗くしていくことが可能です。
例えばF2.8で写真を撮る時、シャッタースピードが1/200と1/500では、1/200の方が明るく1/500の方が暗い写真になります。
一般的に日中でF値を小さくした撮影をする場合は、シャッタースピードを早く設定することが多いでしょう。
F値を大きくするとシャッタースピードが遅くなる
F値は大きくなればなるほど、光を取り込まなくなるため暗い写真になります。
暗くなった写真を適正な露出に調整するためには、シャッタースピードを遅くすることで調整できます。
例えばF11で風景を撮影する時、シャッタースピード1/60と1/200では、1/60の方が明るく1/200の方が暗い写真になります。
F値が小さい時に比べるとシャッタースピードが遅い状態になることが多いので、暗い場所では手ブレに注意が必要な場面も増えてきます。
F値(絞り)の違いよるボケ量の比較
ここではCanonのRF50mmF1.2を使って、F値の違いによる実際のボケ量の違いをご覧いただきます。
先述した通り、F値が小さくボケればいいというわけではなく、自分が表現したいのはどの程度のボケなのか?を意識できるようになると表現の幅が広がります。
まぁ、最初は楽しくて絞り開放で撮った写真が多くなると思いますが(笑)。それで良いと思います。そこから、徐々に絞っていくということを覚えていきましょう。
F1.2
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16
F値(絞り)の目安とおすすめ設定例
ポートレート(人物)
ポートレート撮影にも色々あるので、ボケを活かした撮影もあれば風景まで含めた絞った表現もあります。
が、一般的には絞り開放で撮影する方が多いように思います。
ボケを楽しむのがスマホとは違った一眼カメラでの表現の面白さだと思うので、まずは持ってるレンズのF値を最小限まで小さくして撮影することをおすすめします。
単焦点レンズならF1.4〜F2.8くらい、ズームレンズならF2.8〜F4くらいが目安になってくるでしょうかね。(これが正解というわけではなく、ポートレートでもF11で撮影することも全然あります。あくまで初級編として絞り開放で撮りましょうという話です)
風景・花
カメラを買って風景や花を撮影したいという方も多いと思います。
もちろん、どんなものを撮影するのかによって設定は変わってくるのですが、まずはF5.6〜F8程度で撮影してみるのがいいでしょう。
花や風景の中の一コマなど、ぼかしたい被写体と出会ったときはF値を小さくしましょう。
逆に広く全体のピントを合わせたい場合は、F8くらいまで絞れば広範囲にピントが合うはずです。
日中であれば問題ないですが、室内であったり、屋外でも陰っている場所や夕方くらいからシャッタースピードが遅くなってきます。
シャッタースピードが遅くなることは手ブレの原因のひとつなので、脇を締めて撮影しブレた写真にならないように注意しましょう。
夜景
最近のカメラは手ブレ機能もばっちり高性能なので、昔に比べて手持ちでもブレのない写真が撮れるようになりました。
ただ、絞った場合(F値を大きくした場合)には適正露出で手持ち撮影することは難しいでしょう。
三脚がない夜景撮影は基本的にはF値を小さくしてシャッタースピードを稼ぎます。(少しでもシャッタースピードが早くなるように)
一方で三脚がある場合はブレの心配がなくなるため、風景と同じようにF値を絞って撮影できます。
夜景は三脚を使って撮影すると人間の目で見るよりも綺麗に、時に面白く撮影ができるので、チャレンジしたい方は三脚の購入をおすすめします。
星空
星空撮影は夜景撮影とは異なり、絞りは開いた(F値を小さくする)状態で撮影します。
星空を撮影する場所は暗闇であることが多く、少しでも多くの光を取り込む必要があるからです。
広く写したい場面が多いため、広角レンズでF値の小さい単焦点レンズがおすすめです。
カメラ初心者は絞り優先モードがおすすめ
せっかく一眼カメラを買ったならボケを楽しむためのコントロールを覚えることが大事になってきます。
オートで撮影してしまうとボケまでカメラが決めてしまうため、ボケだけは自分でコントロールできるようになりましょう。
その時におすすめなのが「絞り優先モード」です。
AモードとかAvモード、AEモードとも言われます。
絞り優先モードは撮影者が設定したF値に対して適正な露出(明るさ)になるようにカメラがシャッタースピードとISOを自動で設定してくれるモードです。
撮影者はF値だけを気にすれば良いため、簡単に一眼カメラを楽しむことができます。
カメラを買ったら、まずは絞り優先モードから始めてみましょう!
まとめ:F値(絞り)の概念を理解してボケをコントロールしよう
カメラのF値(絞り)について、自分がこれまで感じてきたこと、学んできたことをまとめてみました。
せっかく一眼カメラを買ったのだから、まずはボケを楽しむことから始めましょう。
その楽しさに気づくと、きっとレンズ沼(あのレンズもこのレンズも試してみたい…欲しい…となる状態w)にハマっていきます(笑)。カメラはそこからがスタートです(苦笑)。
いきなりマニュアルモードは難しいので、まずは絞り優先モードで写真を撮りまくりましょう!そうすることでだんだんシャッタースピードとの関係もわかってきます。そうなると写真が更に楽しくなりますよ!
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